きょうのできごと

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破産と大晦日

 土地を購入し物件を買わないことには大きな利益を得ることはできない。破産することなく、不動産を購入し早期に事業を拡大していくことが重要だ。しかし一方で、私の普段の生活はひどいものだった。ついには家計が立ち行かなくなるとともに、いくつかの不動産を手放さなければならないところまで切迫していた。

 大晦日の夜、私は無念の叫び声を上げるとともについにこれまで長きに渡り管理をしてきた土地を売った。それは、現在契約している賃貸物件の家賃が支払えなくなったからだった。私が幼きころに抱いていた前向きな未来というものはここには一つもなく、あるのは困窮しつつある生活と資金繰りに追われる日々だった。

 その夜、スクラブルという言葉を並べるゲームで言語的劣位性を物ともせず勝利した私は、次に行われるゲーム「モノポリー」においても圧倒的な自信とともに勝利を確信していた。しかし、ゲームが進むにつれて私の大晦日は敗北へと向かうことが輪郭を帯びだしていた。

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 「モノポリー」というのは有名なボードゲームの名前であり、作られたのはおよそ100年前にもなる。私がこのゲームをするのは生まれて初めてだった。存在とゲームの内容はおぼろげにはわかっているつもりではあったが、実際にゲームを始めてみると、私にはまったくと言っていいほどに戦略が書けていた。

 このままでは私の令和元年が、経済的破綻という名の下に締めくくられてしまう。私はついに腹を決め、次に不動産を売りに出す必要性が出た場合はすんなりと負けを認め、残りの大晦日数時間をまるで上から新しい色でこれまでの悲しみを塗りつぶすみたいにして、なにか別のすんばらしいことに時間を使おうと思った。

 夜が深みを帯びた新年になる数時間前に私は不動産を売るはめになり、勝負を終えるとともに私たちは眠る用意を始めた。気づけばカウントダウンもせず、ベッドに横になっていた。「あけましておめでとう」と彼女から言われたとき、私はモノポリーの詳しいルールと戦略についてインターネットで調べているところだった。なぜかあの三角形のスナック「ポリンキー」のことを思い出した。モノポリーと響きが似ていたからかもしれない。

 ピザポテトが食べたくなった。そんな大晦日だった。