きょうのできごと

ともだちになってください

M1と眼鏡

 私たちは免許更新のため、免許センターにいた。三が日はさすがに混んでないとの見立ては、それほど外れていなかった。免許の更新が終わったあと、彼女は以前店に立ち寄ったときに決めていた眼鏡を買いに行くということだった。

 これからショッピングモールへと眼鏡を買いに行く彼女に「ぼくは家に帰るから」とそう言って車を家に向かわせた。彼女は「さみしい」と言って、そのあとに「冗談」と付け加えた。

 ぼくは、自分の中でときおり感情がすっかりどこかへ抜け落ちてしまって、ひどく合理的にものごとを進めているように思うときがある。今回、私が彼女と共に眼鏡屋へと向かう必然性はなかったけれど、同時にぼくは、自分が彼女の気持ちに寄り添っていないことに気づいていた。だから少し悪いなとも思った。けれど、かと言って後悔はしていなかった。だれかの意見よりも、自分の心の向かう先が正しいと信じることができるのであれば、それを実行するべきだからだ。

 その夜、これまで見る機会を逸してきた、M1という漫才の大会を見た。確かに言われている通りすべての出演者が面白く、またそれぞれが違う個性を持っていて、評判通りのレベルの高さだと思った。と言いつつも、ぼくは正直レベルが高いどうこうということはあまり分からない。面白いか面白くないか、好きか嫌いかでしか判断ができない。

 予選敗退はしたものの、ぼくは過去このM1という大会に出たことがある。そのため、毎年この大会が行われるたびに、自分も過去、素人ながら同じような場所に立っていたのかと思い、自分を誇りに思うとともによく出たなとあのときの緊張と、M1出演者の方々を重ね合わせてしまう。