きょうのできごと

ともだちになってください

燃える森と戦争

 雨は降り続けている。だれかが言った。

「この雨を少しだけでもいいから、燃えている森へと降らせてほしい」

 世界中では日夜さまざまなことが起こっている。私たちはニュースを見て事実を受け止め、何事もなかったかのように目の前にある私たちの日々を生きる。この地球上で起こるさまざまな悲しみは、時として私たちの日常を少しだけ非日常へと変えるスパイスになる。だれかの不幸は時として、私たち自身が見過ごしていた幸せを気づかせてくれる。

 ニュースが基本的にネガティブな情報を扱う理由として、ポジティブなできごとや私たちにとっての幸せは、日常の当たり前のできごとの中に多く含まれているという理由が挙げられる。仮に「私たちもあなたも有り難いことに、平和で健康に今日を生きることができています」というニュースがあったとして、私たちはそれに対して「ええ、そうですね」と思い、それがなにかとてもつまらないことのように思えてしまう。実際、私は幸せなできごとのみを扱うニュースを見たことがあるが、退屈と違和感を感じてしまった。

 幸せな情報で溢れかえる場所と言えば、SNSや個人メディアが挙げられる。そこでの情報が自分の日常と関連するものだったり、身近な人物の情報だったりすれば興味は湧くが、そうでない場合はつまらないと思うことが多い。それは、だれかの幸せが私の幸せに関連づいていないからなのかもしれない。でも「私たちもあなたも有り難いことに、平和で健康に今日を生きることができています」という投稿をだれかがしていたとして、それを見た私は「ええ、そうですね」と思い、今ここに生きていることを少し有り難く思うような気がする。

 雨は降り続けている。明日も明後日も雨は降り続けるだろう。もしかすると、雨は世界にあるさまざまな火を鎮めようとしているのかもしれない。

 いつもより少しだけ、雨が私の服を濡らすこと、許してあげようと思う。