きょうのできごと

ともだちになってください

カフェ

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カフェでパソコンしてたんだよ。そしたらもうみんなおれのやってることが気になってしょうがないんだろうね。後ろ通るたびチラ見すごいされたわ。むしろ後ろ通られる回数が他に居た人と段違いだったもんな。

いや、それされてないから。気のせいだから。お前のやってることなんてなんも知りたくないから。ゴキブリの生態くらい見たくないわ。

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いや見られてたし。それこそもうガン見だったしな。お前も気になってんだろ。おれが何してたのかが。

いや、まったくとして気にならないわ。どうせくだらないエロサイトでも見てんだろ。ゴキブリ野郎。

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なんで知ってんだよ。おれがエロサイト見てたこと。

見てたのかよ。てか、そらみんな見るわ。

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おい、おれへの侮辱謝れよ。おれほんとのこと言ってただろ。おまえのせいで一瞬おれのキャラが自意識過剰の勘違い野郎キャラとして誤解されそうだったじゃないか。

おまえは勘違いドスケベ変態野郎だからまったくとして誤解ではないから安心しろ。

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おれは勘違いドスケベ変態野郎ではないだろ。仮におれがもし勘違いドスケベ変態野郎だった場合、こんなにまともな会話が成立してると思うか。すでにかなり成立してきてるんだから違うだろ。

それはおまえ、おれの実力だろ。おまえが勘違いドスケベ変態くそ野郎でも、おれが巧みな話術でお前の中に潜む勘違いドスケベ変態くそ野郎としての能力を抑えているからだろ。

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なんだよそれ。おれの中におれの知らない勘違いドスケベ変態くそ野郎という名の魔物がいて、お前が話しを成立させるためにさっきからその魔物の能力を封じ込めているということかよ。

あ、今の説明とかまさにおれが凄い勢いで封じ込めてるからスラっと言えたけど、おれが封じ込めてなかったら、パンツ脱いでそれを食い出して「おれって最高にクール過ぎて周りの視線集めまくってるわ」とか言い出す悲惨な状態になってるところだったわ。本当おれに感謝したほうがいいよ。

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おい。それかなりの変態じゃないかよ。あとどういうタフな精神してるんだよその状態のおれ。

カフェでエロサイト見てたのもほんとその前兆だから。気をつけた方がいいよ。

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なるほどね。そうか。たしかにエロサイトという名のドスケベを公共の場でおおぴろげにする変態が周りから注目されている自意識過剰な状態でいるということから考えても勘違いドスケベ変態くそ野郎の初期症状と考えてもおかしくない。もしあのままずっとあのカフェに居たとしたら、おれはパンツ脱いで食い出していたということか。

ランニング

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路上を走ってるランナーいるだろ

うん

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あいつら最悪だわ

なんでだよ。なにされたんだよ

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なんもされてねえよクソが。あいつらあれなんだよ。走ってないおれへのプレッシャーかけるために走ってんだよ絶対

んなわけないだろ

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いやんなことないわけがないだろ。だっておれ、毎回あいつら見るたび凄いプレッシャー感じるしな。もう絶対おれに見せつけるために走ってるし、おれに見せつけたあと角曲がったら速攻タクシー呼んで帰宅してるわ

どんなだよ。どんな理由で走ってるやつらなんだよそれ

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もう確実に組織ぐるみだわ

誰得組織だよそれ

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偶然を装い、運動する様を特定の運動していない人物へと見せつけることで、運動していないという罪悪感を引き起こさせる組織だろ

もうその組織悪意しかないな

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むしろ外で運動しているやつらのほとんどがその組織の一員だろ

どんだけだよ。てかそんなにプレッシャー感じるんだったらお前も走れよ

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嫌だよ。なんでだよ

いや、走ったらもうプレッシャー感じなくなるだろ

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お前、おれに組織の一員になれって言ってんのかよ。お前、さては、わかった。わかったわ。いよいよそういうことか

娘とそのお母さんの会話

 先ほど、ぼくはベンチに座っていた。そのベンチは三人掛けのベンチで、左と真ん中の席に娘とそのお母さん、右にぼくが座っていた。

 西日が強く差しこむ中、ぼくは、おまえは聖者か学級委員長か、と言われんばかりの姿勢で本を読んでいた。この気だるい暑さをものともしない素晴らしい姿勢には、夏もぼくをこれ以上困らせることを諦めざるをえなかった。

 あまりの姿勢の良さ加減に、娘とお母さんの話しがおざなりになりそうだったが、そこはさすが素晴らしい姿勢で書いているだけあって、この話の本筋である彼らの話しに戻ることができそうである。

 娘が一方的に彼氏の話しをお母さんにしていた。だが見るに、彼らの姿勢は、なんというか、なっていなかった。甘めに言って、五級だろうと思う。失礼。五級というのは何なのか、ということだが、これは姿勢検定なるものがあったとしたら、ということである。ちなみにぼくの姿勢は、準一級くらいのはずである。厳しい試験と姿勢を保って来たからこそ与えられる称号であり、簡単に取得することはできない。彼らがおそらく五級というのも、準一級という高レベルに位置するぼくが判断したから、ということも一つ言えそうである。準一級ともなると、その眼も厳しくならざるをえない。

 娘は彼氏と別れるに至った原因の一つとして、引っ越しをせねばいけない家庭環境、すなわち父親が一つの要因となっていると言っていた。ぼくがこの素晴らしい天を切り裂かんばかりの刃物のような鋭さを兼ね備えた姿勢を手に入れたのは、家庭環境でも、幼い頃に寺に通ってお経を唱えていたからでもない。背骨は一本の骨ではなく組み合わさってこの背中を作っているような気がするが、その組み合っている部分が外れたりしたらどうしようと思うのが主な理由である。素晴らしい姿勢を保っていれば、少なくとも人よりも外れにくいだろうと思っている。そもそも外れた人を見たことはないが、過去、手の小指を脱臼した経験から、背骨の脱臼もない話ではないのではないかと信じている。北斗真拳の奥義で背骨をバラバラにする技があった際にも、僅かながら他の人よりもバラバラになりにくいのではないかと思う。ちなみにぼくが好きな奥義は北斗骸骨拳(漢字が違うかもしれないが)である。この奥義は骨だけを後ろにぶっ飛ばすという凄まじい奥義であり、漫画以外、この現実世界に無いことをこれほどまでに願う奥義は無い。

 ちなみに、颯爽(さっそう)という言葉が、ぼくの姿勢の全てを言い表すために生まれたかのような、そんな素晴らしい姿勢を保ちつつその席を離れたため、娘とお母さんの話しは最後まで聞くことができなかった。姿勢があまりに良過ぎるのもまた、考えものである。

翻訳

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はろう

は、はろう

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わちゅあねいむ

え?

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わちゅあねいむ

わ、わ、おーけーおーけー

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わっ、ゆあ、ねいむ

い、いえす、いえす

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・・・

・・・

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ないわ

なんだよ。日本語話せるのかよ。外国人の人かと思っただろ

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まじでないわ

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あるかないかで言うと、ないわ

何言ってんの。てか何のこと言ってんの

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おまえの存在だよ

おい、いきなり何言ってんだよ。失礼だろ。存在を否定するところから始めるなよ。てか始めの方何だよ。何て言ってたんだよ。あれ、英語だろ

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馬鹿野郎、何ダサいシャツ着てんだよ、ほんとクズだな。というかシャツに謝れよ。ほんとはそのシャツだって、お前に買われる前は輝いてたはずなんだよ。でもな、お前に買われた後だよ、そのシャツの転落人生が始まったのは。それまでは美しい陳列や、マネキンによって、周りからいろいろとチヤホヤされたんだよ。だがどうだよ。お前に買われて、かつその哀れな着こなしをされているそのシャツ、今じゃ完全腐ってやがる。酒とギャンブルに溺れ、今では風呂なし三十分の一畳ほどの、すげえ臭いにおいがしてネバネバするタンスに押し込まれ、さらにお前という、すでに人間ではない妖怪人間の類の野郎の、臭くてベトベトする肌と一日中触れ合っているんだからな。ほんと同情するわ

え。あれ。おれ、何かした?凄い言われようなんだけど

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違うよ。ほら、お前がさっき、おれが英語で何て言ってたか聞きたいって言うもんだから、おれがさっき言ったことを日本語に訳して言っただけだよ。馬鹿だな、ほんとに言うはずないだろ、こんなヒドイこと。こんなヒドイこと言うとしたら、おれ相当悪いやつだろ

いや一緒だろ。てかもう言った量がまるっきり違ったの何だよ。英語って一言でそんなに深い意味が込められてんのかよ。いや、ないよねそんなこと。絶対。しかも、さっき言ったことを解説する風に言ったとしても、これ実際言ってるからな。完全アウトだよ。なんだよその巧妙なの。巧妙過ぎるだろ。

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知らない名前の雑草の茎にある線

 地面から雑草をむしり取り茎を見ると何本もの線を見つけることが出来る。近ごろ私は、名前は知らないがよく見たことのあるこれらの雑草の、茎にある線のことを考えることが多くなった。なぜ茎にあるこれらの線のことを考えるようになったかはよく分からない。もう死ぬのかもしれない。私が死んだら、雑草の茎にある線のことを日に日に考えることが多くなり、最終的には雑草の茎にある線が数えても数えても数え終わらないと言って気が狂っていたようだったとでも言っておいて欲しい。人々が雑草の茎の線を見た際、私という存在がこの世界にあったのだということを思い出すきっかけとなるだろう。また戒名もそれにちなんだものにして頂ければ尚良いのではないだろうかと思う。

 しかし、よくよく私の思考を紐解き、私がなぜそのようなものについて考えを巡らせるようになったかというと、ひとつにそれらがとても地味だから、という考えに行き着く。地味、かつ誰しもが非常にどうでもいいとしか言えないものに対して、我々が何らかのアプローチをあえてすることは、彼らの恥ずかしくくすぐったい表情を見ることができるからだ。雑草も思うだろう、まさか理科の実験などという言わば彼らにとっては舞台に立つ準備を滞りなくできてしまうオフィシャルなタイミングではなく、いわゆる家でポテチを食べながらソファーで寝ころびテレビを見て屁をこく姿を見られるとは、と。しかも、植物学者でも理科の授業中の学生でもない人間がそのようなことをするとは夢にも思わないだろう。

 それはいつものように、雑草の茎の線を数えだしたときのことだ。彼らは例のごとく完全に気を抜いており、ちょうど今まさに屁をこかんとする状況だったのだったのだろう。尻がピクりと動き、すぐさまにソファーから寝返りを打ったように私の方に向き直った。そうして明らかに強がった上ずった声で「え、どうしたの」と言った。私は内心呆れてそれ以上茎にある線を数えるのを止めてしまった。このような単細胞の雑草野郎に構っている自分という存在が馬鹿らしく思え、雑草を思いっきりコンクリートに投げつけた。雑草はその軽さゆえに空気中を舞い、私が思ってもみなかった明後日の方角へと落ちて行く。舞い落ちる雑草を背に私はくるりと向きを変えその場から立ち去った。そして思った。もう止めよう。雑草の茎の部分にある線を数えるのは、と。我々の人生において、雑草の茎にある線を数えるよりも、もっと大事な何かが必ず存在しているからだ。

 私が雑草の茎にある線を数えているこの間にも、多くの人類がその命の終わりを迎え、また産声をあげている。私たちはこれまで果たして、雑草の茎にある線を数えることで我々と友人との会話という草原に大輪の花が咲き乱れることなどあっただろうか。いや、そんなことはなかったはずだ。雑草の茎にある線の話しで盛り上がった事例があったとすれば、いかにして盛り上がったかということを雑草関連の学会に提出すべきである。雑草の茎の線を数える話など、会話に花を咲かすことなどまったくとして無く、同じような雑草を増やすだけである。雑草が生い茂った会話というのはすなわち、

「服を脱いであの木の幹に背中を激しくこすり付けたら血が出るでしょうね」
「そうですかね」
「だと、思うんですよね」
「血、ですか」
「はい、血です」
「血は、あの、赤いですよね」
「そうなんです、あれは赤いんですよね」

というような、一体お互いに何をしたいのかも分らなければ何も得るものがない意味の無い掛け合いが延々と続くような会話であり、その雑草の中で見つけられるものと言えば、野ぐそくらいの呆れたものでしかない。