きょうのできごと

ともだちになってください

できんこと

 友だちの子どもは両手両足が動かせんくて、意思疎通もおそらく泣くぐらいしかできん。歳は六歳やっていうんに未だにまるで赤ちゃんみたい。

 今日ひさしぶりに会う機会があって、彼は敷かれた毛布で寝そべっとった。いつ以来なんかはわからん。やけどぼくはそんとき昔いっしょにキャンプに行ったことを思い出して、だからかもしれんけどぼくは彼と話せないながらも心ん中ではなんかが通じ合っとる気がしてならんかった。

 彼を見とるとぼくは生きるってことの存在を感じてしまう。彼は普通の同い年の人間よりもできることが少ない。やからそのぶん、基本的に生きるということがむき出しになっとるんじゃないかと思う。そこにいて生きることの凄さ、純度の高い生とはなにかってことをぼくらに伝えとるような気がする。彼がなんもできんなんて思わん。たしかに周りの人の手はかかるかもしれん。やけどそこで生き続ける、ただそれだけでぼくらは学ぶことがあるんじゃないかって思う。日常で起こる人間関係の悩みとかそんなもん差し置いて、ただそこで生きることについて、彼は常に周りのみんなに問いかけとるんじゃないかと思う。